第15章 新たな門出と、仮免
彼の目を見て、私はあぁ…やっぱり似ていると思った。クロシロが私の膝の上に乗り、私の手を舐める。
「………ありがとう」
「いや……ごめん…。俺、何も言えなくて…」
心操くんは本当は言葉を選ぶつもりだったようで、それだけ言うと無言を貫いた。……やっぱり似てるなぁ…とそんな彼を見て、私は再度思った。他人のために必死になれる…私はそんな君が羨ましかったんだ。
「大丈夫、私は辞めない」
私の言葉にハッと顔を上げる心操くん。その彼に私は手を出すように言った。
「……手…?」
「いいからいいから」
私は彼の傷だらけの手をそっと包み込んだ。……間違いなく、努力の手だった。私は目をつぶるとその手に力を込める…すると、
「っ!?」
手の中で赤い炎が点り、次に掌を離した時、彼の手から傷跡が消えていた。驚いたように私を見る心操くんに、私は微笑んだ。
「こっちが私の本当の個性なの。私、エンデヴァーの家系の子だから」
だから個性は無くなってないんだよ…そう説明する私に、心操くんは少しホッとしたようで…治った手をじっと見つめた。私はふと、思うことがあり彼に尋ねた。
「………心操くんさ…もしかしてA組来るの?」
私のカマかけに、今度は心操くんが目を丸くする番だった。