第15章 新たな門出と、仮免
さくさく説明していく寮内に私は開いた口が塞がらなかった。築三日の圧倒的クオリティでは、個室はベランダ付き、エアコントイレクローゼット完備…下手したら、元のマンションより豪華だ。
「百ちゃん、お隣さんよろしくね」
指定された部屋は5F、百ちゃんの隣の部屋だ。個室で良かったとほっと胸を撫で下ろす。あと、轟と部屋を離されて安堵している自分もいた。
「夜蝶、怖い夢を見た時はいつでも来ていいからな」
轟の中の私は、一体いくつ設定なんだ。そうツッコミながらも、寂しそうな轟に一応手は振っておく。
「犬猫山さん、私の部屋に来ませんか?」
「行くっ!」
食い気味に、手招きする百ちゃんと梅雨ちゃんと部屋へと足を運ぶ。百ちゃんと、少し元気のない梅雨ちゃんに別れを告げ、自身にあてがわれた個室の扉を開く。そこには、クロシロがいた。
「にゃー」
おそらく、おかえりと言っているのだろう。私は彼を抱きしめた。あぁ…久しぶりのもふもふだぁ!!
「ただいま」
そして、彼の大好物のご飯をあげたあと、体操服に着替えて、荷解きをし始めた。ふと、頭を過ぎったのは、元気の無い梅雨ちゃんだった。