第15章 新たな門出と、仮免
「うっせーぞ夜蝶!」
爆豪が私の頭を小突いた。私は彼をきっと睨んだ。
「かっちゃんは5人に助けてもらったんでしょ!!!! 私なんか、冷たい床で気絶してたんだよ!!!! 助け出されたお姫様は黙ってて!!!!」
「てめぇ…!!」
バチバチと火花を散らす私たちに、周りはアワアワと止めに入ろうとする。…ふむ、これでもダメか…いつもならば爆豪を弄れば、クラスに笑いが生まれるのだが…。私はまだ沈んだ空気のクラスにどうしようかと視線を動かすと、あるクラスメートで止まる。爆豪も彼の元に行き、私と同じ意図であることに気づく。私も彼と共に上鳴電気を連れ出した。
「え…な、なんだよ…?」
そして、爆豪が上鳴くんの個性を半ば無理やり発動させ、草むらからアホが登場した。ウェイウェイと親指を立てて両手を前後させるアホ。そのアホを放置して切島くんにお金を差し出す爆豪。少し和む場に満足していた私だったが、そんな私の横で爆豪が轟を呼んだ。
「なんだ爆豪…!?」
「ひぇっ!?」
突然、私の胸ぐらを掴んだ爆豪は轟に向かって私を投げ飛ばしたのだ。見事ナイスキャッチ…轟は私をしっかりと受け止めてくれた。
「テメェ、重ぇんだよ!! 兄貴ならデブの体重管理くらいしておけ!! 」
「おい、爆豪。夜蝶は軽いぞ。お前、筋力落ちたんじゃねぇか…」
「んだとゴラァ!!!!」
爆豪が轟に突っかかる前に、私は彼の頭を叩いた。不意をつかれた爆豪が驚いたように私を見る。
「女子に向かってデブはないでしょ!! かっちゃんの馬鹿、デリカシーないんだから!!」
「んだと…上等だ…ぶっ殺す!!」
上等だよ…こっちこそ手加減しないんだからね!!とやり合う私たちの横で、
「爆豪。なんで夜蝶が重いなんて言い出したんだ? もしかしてお前、抱っこでもしたんじゃねぇだろうな…!!」
と中々鋭いことを言い出す轟なのであった。まぁ、爆豪の不器用ながらの気遣いに、いつものA組の雰囲気に戻ったのであった。