第12章 楽しい楽しい林間合宿
~別side~
「おいこらヴィラン、私をはなせぇぇぇぇぇ!!」
体が動けないと知り何かされたのかと思った焦ったが、普段と変わらない夜蝶の様子に俺は少しホッとしていた。だが、安心はできない。あいつはまだ敵の手の中だ。
「…ガスの効き目が切れてきたか」
「女子にガスなんか嗅がせるなこんのー……」
言葉が途切れ、同時にバタバタ手を動かしていたあいつの姿が俺の視界から消える。…夜蝶…!!
「夜蝶ちゃん!? クソッ、またあいつの個性か」
俺は焦燥から、氷の個性を出した。だが、それは難なく躱される。俺は堪らず叫んだ。
「返せ!! 俺の妹だ!!!!!!」
「彼女はお前の妹なんかじゃねぇよ、轟焦凍」
男がこちらに手を向けると、そこから再び出てきた青い炎が俺らを襲う。クソッ…!!このままじゃ…
「合図から5分が経ちました。行きますよ荼毘」
「ワープの…」
見覚えのある黒い影が現れ、敵が続々とその中に入る。緑谷が絶望的な顔をし、障子は拳をぎゅっと握る。
「そんじゃーお後がよろしいようで…」
その時、絶望的な状況だったその時だ。青山のレーザがヴィラン側を襲い、少しの隙が生じた。俺と障子は反射的に走り出した。目指すは、取りこぼした3つの玉だ。