第12章 楽しい楽しい林間合宿
「A組B組総員──プロヒーローイレイザーヘッドの名に於いて!戦闘を許可する!」
んむ…? これは…マンダレイの個性か。緑谷は無事合流出来たようだ。
「ヴィランの狙いの一つ判明!生徒の「かっちゃん」と「夜蝶ちゃん」!その二人はなるべく戦闘を避けて!単独では動かないこと!わかった!?「かっちゃん」!「夜蝶ちゃん」!」
…1発で緑谷って分かるなぁ。そもそもかっちゃんなんて、緑谷しか使わないか。たまに私使うけど、私は自分のことちゃん付けしないし…。そんなことを思いながら、私は頭の中に直接響く声に目を開ける。
「目が覚めたか?」
ハッと体を起こすが、体がまるで石のように動かない。…あのガスの影響か…。私を抱きながら歩いている荼毘が私に顔を向けた。
「…寝心地最悪なんですけど」
口だけしか動かない私はそう悪態をつく。私の言葉に荼毘は笑った。
「帰ったら、フカフカのベッドを用意してある」
「いや、誘拐犯の家なんて、どんなに豪邸でも嫌だわ。私の家に帰らせてよ」
「家?」
ドスンっと空気が重くなる。私の言葉に、纏う空気が変わる荼毘。
「あれがお前の家なのか? あの男の家が?」
足を止め、私に顔を近づける荼毘。…なんだコイツ…。こいつも精神不安定者なのか??
「おっ、殺っちまうか? いいねぇ!! どうやって殺そうか!! いやいや、駄目だろ。そいつ、死柄木からもついでに連れてこいって言われてんだろ?」
はぁ!? 死柄木も言ってんの?? しかも、ついでってなんだよついでって!!!!!! 思わず、トゥワイスの方を見ようと視線を移した時、私は言い様もない重圧を感じた。ちらりと見れば、顔がいつの間にか目と鼻と先。
「あれは駄目だろ、犬猫山 夜蝶
、あれだけは駄目だ。あの環境はお前をダメにする。お前はあそこにいるべき人間じゃねぇんだよ」