第12章 楽しい楽しい林間合宿
「……ごほっ…」
私はゆっくりと起き上がった。頭はグワングワンと回っているが、特に怪我らしい怪我もない。左手に軽い火傷を負ったが…まぁ大丈夫だろう。私はゆっくりと立ち上がった。
「………早く離れないと…」
2回も緑谷の個性を使ってしまった。このパワーは目立ちすぎる。私はよろめく足をしっかり立たせ、走り出そうとした。しかし……
「…ようやく見つけた」
低い声と気配が2つ。私は後ろを振り返った。頼む…ヒーロー側であってくれ…。
「我々と共に来ていただこうか、犬猫山夜蝶」
しかし、私の願いは叶わず、そこにいたのは、覆面の男と顔に継ぎ接ぎがある、どちらもヒーロー側とは言えない風貌の男達だった。
「あー!!!こいつが今回の本命か? そうだろ!?」
「あぁ。まさか、マスキュラーのとこにいたとはな。落ちてきたのには驚いたが……」
私は舌打ちをした。私の手元にあるセイマーはあと数体。そのうち、緑谷の個性持ちは三体しかない。あとは全て、宿舎のバックの中。…それもこれも、黒霧さんがちゃんとホウレンソウをしないせいだ!! 私が狙われてるってちゃんと言ってくれていたら、相澤先生から意地でも離れなかった!!
「申し訳ないけど……私、ちゃんと自分の顔を見せてくれない人に興味はないの。あと、無理矢理連れていこうとする人も」
私はニコッと笑って指を鳴らし、走り出した。