第12章 楽しい楽しい林間合宿
「………さすが」
私は倒れそうになる彼の体を支え、賞賛した。足元にはヴィランが気を失っている。彼にとっても予想外の一撃だったようだ。
「……犬猫山さんのおかげだよ…」
緑谷が足を強く踏ん張り、私の支えなしで立ち上がる。………まっ、ここまでやってもらわなきゃ話にならないけどね。ようやく間近で見ることのできた、彼の本気。ヒーロー殺しの件の時よりも、確実に成長している。ここ数週間、彼に何があったのか…そう思わせるほど、彼の成長ぷりは見事なもの。ふむ…と緑谷の成長っぷりに感嘆していると、視界の隅で、何か大きなものが動いた。
「…犬猫山さんは…洸太くんをお願い。君も狙われているみたいだから…気をつけ……危ないっ!!」
私たちの周りに衝撃が走り、緑谷が私に手を伸ばす。私はその手を掴まなかった。その代わり、再び起き上がろうとした、ヴィランを確実に拘束するためにセイマーたちによって上から押さえつけた。
「洸太くんをお願い!! 私は大丈夫だから!! マンダレイにこのことを!!」
「犬猫山さん!!!!!!」
緑谷が落ちていく私に叫ぶ。…なんで泣きそうなんだか。私はニコッと笑った。
「またあとで!! 無茶しないでね」
まっ、2人の視界から外れたら黒霧さんがワープで助けてくれるだろう…私は落ちていきながら、呑気にそんなことを考えていた。