第12章 楽しい楽しい林間合宿
「つーことで、一緒に来てもらうぜ」
彼は1度言ったことを実行する初志貫徹タイプのようだ。私に向かって、大きく拳を振り上げる。私はヴィランに向かって走り出した。
「お、足掻くのか」
ヴィランはニヤリと笑って、力いっぱい拳を振るう。大きな力が私を襲うが、私の方が少しだけ速かった。彼の大きく開く股から、自分の体を通す。
「……中々速いな」
しかし、やはり無傷で…とはいかないか。私は少し掠っただけで外れた肩を無理やり戻した。……馬鹿力め。しかし、緑谷たちから視線を逸らすことは出来た。これで洸太くんが逃げる時間が少しでも稼げる。
「…柄じゃないんだけどね」
私はそう呟き、指を2回鳴らした。セイマーがふよふよと浮かぶ。先生の言葉が頭をよぎる。格上の相手からは逃げろ、と。
「柄じゃねぇことはするもんじゃねぇぜ」
そう笑いながら、敵は私に力強い拳を振り上げた。