第12章 楽しい楽しい林間合宿
大きな爆風…私はいつもタイミング悪く、ちょうど見れないんだよなぁ。そう思いながら、私は落ちていく洸太くんの手を引っ張り、しっかり受け止めた。
「大丈夫? 怖かったね。もう大丈夫だよ」
ニコッと微笑むと、途端に泣きじゃくる洸太くん。
「犬猫山さん!? よかった…無事だったんだ!! いつも捕まってるから、今回もそうかと…」
「何気に失礼だな」
毒舌をぶちかましてくる緑谷に私は頬を膨らます。確かそれ、君みたいにやんわりとじゃないけど、爆豪にも言われたんですけど。そんな時に、幼なじみパワー発揮しなくていいから!!そう言おうとして、私は口を噤んだ。
「しまったなぁ…もう少し後に出てくればよかったかも」
「え?」
私は洸太くんを抱き上げた。警戒する視線の先には、あのパンチをくらっても尚動く、ヴィランの姿。いや、ほんと往生際が悪すぎる。今の緑谷のパンチ、オールマイト並にあったと思うよ?
「テレフォンパンチだ。しかしやるなぁ!緑谷…! しかし…ここからが本気の義眼だ!!」
「二人とも捕まっ…」
「いや、もう逃げてる!!」
「へっ、ほんとだいない…わっ!?!?」
「余所見してんなぁ!!!!!!」
とっくの昔に距離を取っていた私は、他に逃げれる場所はないか探した。洸太くんはボロボロの緑谷を泣き腫らした目で見ている。
「犬猫山さん!! 洸太くんを相澤先生の元へ!! 敵の狙いはかっちゃんだ!!」
緑谷が私たちを庇うように直線上に立つ。
「爆豪くん!? なんでまた…!!」
まっ、知っていましたけどね。私の任務それですし。さぁ、あとはこのタイミングで爆豪の居場所を聞いたら、ミッションはほぼクリアしたようなもの……
「………犬猫山? おい、お前犬猫山か?犬猫山夜蝶か!?」
しかし、口を開く前に敵がそう私に高揚した声で叫んだ。
「リストにあった名前じゃねぇか!! ほんっと俺って、ついてるなぁ!!!!!!」
「え…」
高揚する男の言葉に、私は絶賛嫌な予感がするのだった。