第12章 楽しい楽しい林間合宿
「…あ!!」
「どうしました?」
下が荒れ狂う戦場の中、上でのほほんと談話していた私だったが、見過ごせないものを見つけてしまった。私が見つめる少し遠くの崖には、激しい戦闘が行われていたのだ。
「あそこ!! 緑谷出久が戦っています。あれは………げっ!! あれって確か……!!」
「ええ。新たに引き入れた者ですが…彼がどうかしたのですか?」
私は黒霧さんの問いには答えなかった。緑谷は1人の子供を庇いながら戦っている。緑谷と戦闘中のヴィランはあろうことか……洸太くんの両親を殺したヴィランだった。
「………うわっ!! 緑谷、大苦戦じゃん…えぇーヴィラン優勢じゃん…」
「何か都合の悪いことでもあるんですか?」
んー…というわけでもないのだが…ただなんとなく、あのヴィランに緑谷を殺されてしまうのは辛抱できなかった。
「黒霧さん。あそこに私を送っていただけませんか? できれば少し離れた草むらとかにぃ!?!?」
「了解です。私も彼だけはあまり好きにはなれなくて…気が合いますね」
いや、あんたのはただの私情だろうが!! …いや、私もか。黒霧さんのワープに吸い込まれながら、私はそう苦笑いをするのだった。