第12章 楽しい楽しい林間合宿
「いただきます!」
飯田の号令で一斉にスプーンが動き出した。
「美味しい!!」
なんで材料は同じなのに、こんなにも美味しく感じるのだろう。私は幸せを噛み締めるようにゆっくり咀嚼した。隣では勢いよくカレーを口に運ぶという珍しい百ちゃんの姿があった。百ちゃん曰く、脂質を原子に変換して創造しているため個性を多用した日はよく食べるらしい。
うんこじゃん
そう発言した、クラス内でデリカシーなさ男の1人である瀬呂には、早々に虫の洗礼を受けさせる。
「ねぇ、瀬呂。あんた百ちゃんのおかげで筆記試験受かったようなものなんでしょ?」
なに、恩人の顔に泥を塗るようなことを言っとるのじゃお主は!! そういう意味を込めて、笑いながら彼を見下ろす。
「す…すみませんでした…!!!!!!」
勘のいい彼はすぐ百ちゃんに土下座して、謝罪。私は虫を引かせ、クラスメート…特に田口あたりから畏怖されるのだった。
そんなこんなで、わいわいと、楽しい夕飯の時間は過ぎていく。友達と純粋にはしゃいでご飯を作ったり、特訓したり…私には初めての経験だった。…ヴィラン側に入ってからは、先生は学校に行かせることもあまりさせてくれなかったし。
「……かっちゃんとデっくん以来かな…こんなに楽しいの…」
私の呟きは、個性を使いすぎた上鳴のウェイで消えていったのだった。