第3章 学校生活
「雄英は楽しいかい?」
笑い疲れた私に八木さんは、お茶を渡しながら聞いた。私はお礼を言いながらそれを飲み、頷く。
「ええ。とても。先生達もクラスメートもいい人ばかりですし、毎日が新鮮でおもしろいです」
「そうかい。それはよかった」
何故か嬉しそうな八木さん。
「八木さんは雄英出身?」
「え?何故そう思うのかい?」
「なんとなく」
まぁ、おそらく正解だろう。雄英出身者は雄英にただならぬ愛着を持つっていうから。
「そ、そうだね。私は一応雄英出身だよ」
「 じゃあ、先輩ですね」
「そうだね。」
ふふっと笑うと、ニカッと微笑んでくれる八木。なんだろう?何故かこの人の隣は心地よかった。任務も何も関係ない人だからかな。
「じゃあ、相澤先生って知ってます?」
そう聞くと、八木さんは頷いた。
「まぁね。優秀だったよ。元気な友人といつも一緒にいた」
友人とは恐らく雄英のあの先生だろう。たまに仲良く話しているのをきいたことがある。
「あの先生から言われたんですよ。何故ヒーロー科に入ったのかって」
私は何故か彼にその話をした。……解答例を聞きたかったのかもしれない。今度は間違えないように。
「ふむ。それで君はなんて答えたんだい?」
「ヒーローを目指しているからと答えました。でも、相澤先生なんか微妙な感じで……私はなんて答えたら良かったのでしょう?」
そう問いかけると、八木さんは少し考えるような仕草をして、
「……君はどんなヒーローになりたいんだい?」
と逆に聞き返した。………どんなヒーローに。それを相澤先生も聞きたかったのだろうか。誰でも助けれるようなオールマイトのようなヒーローになりたい。不意に昔遊んでいた友人の言葉が頭を過ぎった。
「…………正直に言うと、分かりません。オールマイトのような誰でも助けられるようなヒーローになりたい、そう言った友人はいますけど。それがないとヒーローを目指してはいけないのでしょうか?」
むしろ私はそのオールマイトを倒したいのだが、流石にそれは口には出せないな。
「いいや、君はまだ若い。どんな自分になりたいかだなんて我々大人でも長年の悩みだろうね。ゆっくり考えていけばいい。フフッ。私の知り合いにも君の友人と同じことを言った子がいてね。嬉しい限りだよ」
八木さんはニコッと笑って、私の頭を優しく叩いた。