第3章 学校生活
八木さんと別れて家に帰ると、クロシロが不思議そうにしていた。
『なんか嬉しいことでもあったのかにゃ?』
「え?」
『 顔がニヤけてるにゃ』
私は慌てて顔に触れた。自分では分からないが、クロシロにはそう見えているらしい。
「なんにも。ただ普通に猫を返してきただけだよ」
『 ………ふーん』
確かに八木さんとの会話は有意義なものであり、楽しかった。あんなに偽りなく話したのは久しぶりだった。
「………そう言えば、心配されたのも頭を撫でられたのも両親が死んで以来されてなかったな」
私はそっと頭に触れた。何故だか心が温かくなり、私は再びクロシロににやけていると言われるのだった。