第11章 演習試験
「あなたの個性は、1回の威力はそれほどないものの、その個性発動の持続が評価されています。しかし、それには集中力がいるはずですので、それを切れされてしまえばこちらのものです」
そして、そこからはもう私の独壇場だった。追い込まれた彼が一気に個性を使うことなど想定済み。私は個性を使い、空へと逃げた。
「あなたは放電すると、しばらく個性を使えなくなりますね。ダメじゃないですか…ヒーローが卵ごときに足を救われては」
クスクスと笑うと、男は私を恐ろしいものを見るかのような目で見つめた。ダメージの影響で、もう口は聞けないはずだ。私は彼に手を伸ばした。
「馬鹿な人ですね。しゃしゃり出てこなきゃ、私は何もする気なんてなかったのに。娘さんもお可哀相に。まだ…小さいのに」
ビクッと体が震える。私は笑みを向けた。そして、ゆっくり言葉を紡ぐ。
「私は知っていますよ。あなたのされたこと。あの事件の真相を…」
「なにをしているんだい? 」
怪訝そうなリカバリーガールが現れ、私と彼の会話はここまでとなった。…まぁ、ここまでやれば十分だろう。私は振り向いた。最後のトドメとばかりに。
「リカバリーガール!! あの、イナズマさんが動けないようで……私やりすぎちゃいましたかね!?!?」