第11章 演習試験
~別side~
『皆位置についたね。それじゃあ今から雄英高1年、期末テストを始めるよ!レディイイ…───ゴォ!!!』
演習開始のアナウンスが響き渡り、僕は逃げも隠れもせず、目の前の相手を見た。見惚れるような黒髪を風がなびき、綺麗な顔立ちに惚れ惚れするような大きな瞳をもつ彼女。……惜しかったな…。そう僕は思った。返り血を浴びた小さな子供が頭を過ぎる。あれが…こうなるとは。生前、彼女の母親を見て綺麗だと思ったが、彼女はまた別の分類の綺麗さだろう。少し危うさを感じられる。初々しい…汚れを知った綺麗な少女。将来が楽しみだ。そう思いながら、僕は口を開く。
「久しぶりだね!! 覚えているかな? 大きくなったね。だが、遠慮は要らない。正々堂々……」
そう口にした時、僕は異変に気づいた。足元に強い揺れを感じたからだ。
「っ!?」
彼女の攻撃かと身構えた時、僕はハッと息を飲んだ。
「…………ええ。遠慮なんてするつもり…ありませんよ」
目の前には白い魚みたいなものを見に纏わせた少女の姿があった。