第11章 演習試験
私はため息をひとつ付き、目を開けた。もうすぐ、あいつがいる場所へと着く。あいつと対峙したとき、果たして私は自分を抑えられるだろうか。
「……お茶子ちゃん?」
不意に電話が鳴り、私はそれを取り出した。今は休憩中のようなものだし、電話を取っても問題ないだろう。緊急かもしれないし。
「はいはーい!! こちらてふてふだよぉ。どうしたの? 何か忘れ物でも……」
「久しいね、夜蝶」
電話から聞こえてきたのは、可愛らしい声ではなく……やけに低い男の声。私は息を飲み、冷静に電話を調べた。……これ、プライベートの携帯…だよね。何故それを先生はお茶子ちゃんの名前で…かけてこられたのだろう。ドクンッと心臓が鳴った。まさか……お茶子ちゃん…。嫌な考えが頭を過り、私は首を振った。お茶子ちゃんなら、青山とともに13号と試験のはず。いくら先生でも、雄英で生徒を襲撃なんて…出来るはずがない。
「そのまま返事をせずに、聞きなさい」
先生は私の動揺を知って知らずか、そう淡々と述べた。私は落ち着けようとゆっくり息を吐いた。そんな私に先生は、
「今回の試験で、あのヒーローを指名したのは私です。」
と言った。