第11章 演習試験
その後、相澤先生が普段のように場を静かにし、私以外の人達がペアを発表される。百ちゃんと轟ペアは、相澤先生を相手に。爆豪と緑谷ペアは、オールマイトを。と、どんどんペアが発表されていくが、私の耳にはまったく入ってこなかった。そんな中、飯田が手を挙げた。
「すみません!! まだ、犬猫山くんの試験内容について納得がいかないのですが。プロヒーローと一対一など、他の生徒に比べて不利なのではないでしょうか?さらに、 犬猫山くんの個性を考えれば、耳郎くん、口田くんと一緒にした方がいいのではと思うのですが」
それに相澤先生はこう反論した。私の顔をちらりと見ながら。
「こいつの個性は、2人とは全く別モンだ。こいつは田口みたく音ではなく、電気を使って物理的に動物を操っている。それじゃあ、プレゼントマイクを当てる意味が無い。そうだな、犬猫山」
………この短期間で見破るのか。私は黙って頷いた。隠しているつもりはなかったけど、バレないようにはしていた。もしものときを考えて。
「審査基準は多少他の生徒よりは甘くする。だが、気を抜くとタイマンだからな。すぐ落ちるぞ」
じろりと見て、釘を刺す相澤先生。私はこくりと頷き、1人でバスに乗り込んだ。腹の中はぐちゃぐちゃで…今にも吐きそうだった。
私がヴィラン側の扉を叩いたきっかけ…そのきっかけと今から対面するのだ。