第11章 演習試験
ザワっと、皆が私を見る。私はマジか…という顔をした。…まぁ、そっちの方がやりやすいちゃやりやすいか。そう思い直したが、私はその対戦相手を知り、驚愕することになる。
「お前には臨時の講師、『イナズマ』と一対一でやってもらう」
………は?
「イナズマ!? 今、人気絶頂のビリビリヒーローですか!?」
対照的に、辺りは興奮に包まる。緑谷がお得意のヒーローオタクを発揮し、目を輝かせた。
「ビリビリヒーロー、イナズマ!! その個性の強さも人気の秘密だが、なんといってもそのルックスでお茶の間を沸かせている、今人気がうなぎ登りのヒーロー!! 人気のきっかけは、確か数年前の事件解決で………あっ……」
ここまで言って緑谷がハッとしたように私を見た。………そう。私の両親が殺されたあの事件…。私がこれから対面する相手は、そのとき自身の人気に火をつけるため見殺しにした…あのクソヒーローだった。