第3章 学校生活
帰り道、うんっと背伸びをしていた。
「あ、あの…! 犬猫山さん!」
不意に声をかけられ、振り返るとそこには緑谷がいた。
「あれ?緑谷くん。奇遇だねぇー。緑谷くんも帰り道こっちなの?」
何の用かは知らないが都合はよかった。こいつのヒーローオタクには興味がある。こいつがいなければ、イレイザー・ヘッドを危うく見逃すところだった。
「あ、いや……そういうわけじゃないんだけど……あっ、あのさ…間違いだったらごめん!!その……」
「ん?」
帰り道ではなく、わざわざこちらの方に来たというのであれば私に用がある…そういうことだろう。しかし、緑谷のその用を聞く事は無かった。
「おい!!俺の彼女に何のようだチビ!!」
突然、豪華な車が現れたかと思うと、中から新戸が出てきたからだ。
「えっ!? いや…その……」
「新戸先輩!! もしかして会いに来てくれたんですか?」
私は新戸が緑谷になにかする前に、彼に近寄って腕を組んだ。
「あぁ。デートのお誘いにな。もちろん行くだろ?」
「ええ。先輩のお誘いをお断するわけありませんよ」
そう言うと、新戸は満足そうに車へ乗るよう促す。
「あ、ごめん緑谷くん。また明日ね」
「あっ……うん」
車に乗ると、さっそく私の肩に自分の腕を回してくる新戸。私は彼の肩に頭を置いた。ちらっとバックミラーを見ると、緑谷がこちらを寂しそうに見つめていた。