第3章 学校生活
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犬猫山夜蝶。動物とコンタクトがとれる個性を持つ。授業態度は良く、成績も中の上。持ち前の明るさで個性的なクラスにさっそく馴染んでいる、どこにでもいる普通の生徒。教師からの評価も高い。
しかし、何故か俺は彼女が気になった。
彼女の担任として、彼女ほど普通の生徒はいない。しかし、彼女は読めないのだ。話していても、授業を受けていても、実践訓練中も、彼女からは……そう必死さが感じられないのだ。轟や爆豪でさえそれは感じられるというのにだ。
「お前は何故ヒーロー科に入った?」
だから俺は問いかけた。
「ヒーローになりたいからに決まってる」
ありきたりな返答が来ただけだったが。
「そうか」
そして、犬猫山は退出し、部屋には俺ひとりとなった。
「…………ヒーローを目指している?」
だったら何故、自分を隠す必要がある?