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私の敵はヒーロー

第10章 その後


いつの間にか…眠ってしまっていたようだ。私が目を覚ますと、そこは病院の個室だった。傷の手当もしてある。一応、個性を受けたということで、色々検査もしてもらったようだ。そして、私が今1番気になるのはこの大きな影。

「……エンデヴァー? なんだここに…」

そこには、ベッドの横で椅子に腰掛けて寝ているエンデヴァーの姿があったのだ。いつものように眉間にシワを寄せ、小さな子が泣きそうな顔をしている。

「……普通は轟の方に行くでしょ」

私はため息をつき、彼にタオルケットをかけようとした。そこで、大きな瞳と目が合ってしまう。

「お…おはようございます…って、今は夜なんですけど…。あの…いつの間にか眠ってしまったようで…」

その眼力に、何故か言い訳を並べてしまっていると、突然ガバッとエンデヴァーが腕を広げる。や…やばい!! 殴られる!!と、思わず目をつぶるが…

「………え?」

考えと反して、大きながっちりとした体が、私を包んだ。轟とは違い、少しツンっとした髪が私の頬に刺さる。

「…黒い闇の中に落ちていった時、またお前は俺の手の届かないところに行くのかと…」

「エ、エンデヴァー…さん??」

一体なんの話しを…?だが、それよりも誰かにこんなところを見られる方が大変だ。私は身じろぎをするが、やはり体格が違いすぎて、屈強な体を持つ彼はビクともしない。

「NO.1になれない苛立ちから、俺はお前を突き放した。だからか? 次の日、お前の姿はなく、残されたのは両親宛ての一通の手紙だけ。
そして、今でもその約束は未だ果たせず、俺はまだNO.1になれないままだ。せめて…お前の娘を引き取ろうとしたが……行方が分からないまま数年が過ぎた」

誰かと…間違えているのか。その誰かというのは…母か? 普段のエンデヴァーからは想像出来ないほど、今の彼は何故か弱々しかった。

「お前がいなくなって…俺は…自分を見失うばかりだ…爽和」

…エンデヴァーにとって、母はそれほどまで大きな存在だったのか?私はふぅっと軽くため息をつく。まぁ、唯一弱音を吐けれた相手、それぁ妹である母だけだった…そういうことなのだろうか。…不器用で可哀想な人だと思った。この人は孤独なのだ。1人で戦っている。1人で必死になって、オールマイトを追いかけているのだ。NO.1という称号を追いかけ続けている、憐れなNo.2ヒーロー。
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