第9章 私たちのはちゃめちゃな職場体験
「ありゃりゃ」
私は思わず、目の前の光景に笑ってしまった。私の目の前に倒れているのは、ヒーロー殺しで、緑谷、轟、飯田の3人の連携が決まった瞬間だった。
「……手加減されたなこりゃ」
私はふぅっとため息をついた。だから、このタイプは扱いづらいと言ったのだ。恐らく、このままでは緑谷、轟を殺さざる得ない…それよりも自分が捕まってしまい、この飯田とこのヒーローを粛清できなくなる方がまだマシだと思い立った。ので、間違いないのかな?
「……狂った思想。されど、その執念に突き動かすものもある…ってことか…」
少し先生の考えが読めてきた。これか。はなっから、この思想を利用するつもりだったのか。抜け目ないなぁ…先生は
「夜蝶!! 大丈夫か?」
心配そうに私に駆け寄る轟に私は笑いかけた。大丈夫だと。
「おい、こいつ…ヒーロー殺し!!」
そして、緑谷は見知らぬおじいちゃんに蹴られ、増援に来たヒーローたちと合流。私は血が多量に出ている轟と飯田の腕を治療する。
「…すまない…。君にも迷惑をかけた…」
「全然。それに私はただ捕まってただけだし。特別怪我もしてないしね」
「ああ。それに俺らも迷惑なんて思っていねぇよ。な、緑谷」
これで、この話は終わり。そのつもりだった。だからこそ、私は彼らを手当し始めたのだから。だから、まさか…脅威が近づいているなんて…思いもしなかった。
それにいち早く気づいたのは、見知らぬヒーロー服に身を包んだおじいちゃん。
「伏せろ!!!!!!」
「え?」