第9章 私たちのはちゃめちゃな職場体験
~誰かside~
標的をどうするか品定めをしている中、俺は1人のガキに目が止まった。そのガキは、ヒーロー希望の卵のくせに、ヒーローに向かって呆れたような…そんな顔を向けていた。
「これだから、この町にヒーロー殺しが現れるんですよ、先輩」
その言葉に、俺の心は震えた。俺の思想を理解してくれている…そんな気がした。ヒーローというものの絶望。それを彼女は知っている…何故だかそう感じた。さらに、決め手となったのは、最後の一言。
「まったく…この程度でヒーローなどと…呆れてしまう」
そうだ!! その程度の力で…そんな覚悟で…ヒーローだと自称するものがなんと多いことか!! やはり、ヒーローと言えるのは…あのオールマイトだけだ!!それを、この卵は分かっているのだ。見せかけだけの言葉ではなく、ちゃんと理解して。俺は震えた。この出会いに感謝しなくては……そう
「お前は俺の後継者に相応しい」
それに見合う、理想もその力もすでに手にしているのだから。