第9章 私たちのはちゃめちゃな職場体験
あぁ…これはダメだ。私は早々に轟を煽ったことを後悔した。私は言うべきだったのだ。逃げろ、と。轟は腕を切られ、出血がひどいし、緑谷や飯田たちを庇って戦っているため、負担も大きい。
「…轟くん!!」
動けない緑谷が叫び、私はふぅっとため息をついた。仕方がない…か。私は彼の首根っこを掴んだ。
「そろそろ離してくれない?」
「っ!?」
私は思いっきり、ヒーロー殺しを後ろに投げた。器用にくるりと一回転し、ヒーロー殺しは地面に着地した。私は改良版のセイマーたちを懐から取り出し、指を2回鳴らす。ふよふよと浮かぶ見慣れぬセイマーに、ヒーロー殺しは警戒を強める。
「……時間か」
それは自分の個性の時間制限のことだろう。私は微笑んで、走り出した。久々に本気、出しますか!!