第9章 私たちのはちゃめちゃな職場体験
強い。私はその戦闘を担がれながら見て、そう思った。私というハンデがあるのは、どちらとも同じだ。ヒーロー殺しは私を担ぐため動きに不自由さがあり、緑谷にしては私がいるから思いっきり戦えない。しかし、それを抜きにしても、緑谷の成長ぷりは見事なものだった。勝機があるのではと、思わせるくらいには。だが、それは相手がヒーロー殺しでなければの話だ。
「お前は生かす価値がある」
こいつらとは違う…そう言うと、飯田へと剣を向けるヒーロー殺し。私の体は……まだ動く気配がない。これはまずい…
「…次から次へと。今日はよく邪魔が入る」
タイミングを見計らったように、炎と氷が辺りを包み、その中から、現れたもう1人の見知った顔。私は口を開いた。早く助けてくれとばかりに。
「夜蝶、無事か?」
「無事そうに見えるなら、あなたの目は節穴だよ。…お兄さん」
私がその言葉を口にした瞬間、カッと目を開せた轟がいたのは言うまでもない。