第9章 私たちのはちゃめちゃな職場体験
しかし、その剣は届くことは無かった。邪魔が入ったからだ。ヒーロー殺しはなんなく、その邪魔者に攻撃をくらわせる。
「スーツを着た子供…何者だ」
取れたメットからみおぼえのある顔が現れ、私はハッとした。
「消えろ。子供が立ち入っていい領域じゃない」
飯田がヒーロー殺しに向けた目線。私はそれで自分の嫌な予想が当たったことを知る。
「敵討ちか」
そして、それを口にする飯田を、ヒーロー殺しが標的にするなんて、容易く想像出来るわけで…。
「あいつらを助けろよ。あの男とそこの卵。知り合いじゃねぇのか?」
「…夜蝶…くん…!!」
ようやく私を認識する飯田が、私に絶望的な顔を見せる。私は大丈夫だというようにへらっと笑う。
「己のために力を奮ったあげく、目先の憎しみに囚われ私欲を満たそうなどと…」
動け…動け……。私は必死で体を起こす。何故?何故だろう…?飯田とはそれほど親しい仲でもないし、そもそも私とは住む世界が違いすぎる人間だ。こんなに必死になる…意味なんて………。だが、頭では冷静にそう考えるものの、体は必死で個性を解こうともがく。
「飯田くん!!!!!!」
「じゃあな。正しい社会の供物」