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私の敵はヒーロー

第9章 私たちのはちゃめちゃな職場体験


「…本当…最悪…」

私が黒霧によって落とされたのは、少し離れたところだった。…黒霧さん…なんの説明もなく、こんなところに連れてこないで欲しい。

「君!? 雄英の子か!? 何故急に…」

そんなの私が知りたいです。周りの人々は混乱に包まれており、車はひっくり返っているし、ヒーローは人々の誘導にてんてこ舞いだし……なんかもう大変そうだ。私はキリッとした顔をし、指示を仰ぐ。

「敵の攻撃に巻き込まれました。エンデヴァー事務所に職場体験中の、ヒーロー名、『クロシロ』です。何かお手伝いを……」

ぐしゃっ

突然鈍い大きな音が響き渡る。下敷きになっているのは、先程ひっくり返された車。そして、そこにいるのは……

「の、脳無!?」

その2本の腕で持っているのは、名も知らぬヒーロー2名だった。先程、指示を仰ごうとしたヒーローはガタガタと身をふるわせている。私は一応聞いた。

「どうされますか?」

と。案の定、そのヒーローは答えた。

「お、俺の個性とは相性が悪い。ここにはあのエンデヴァーがいるんだ。それを待って……」

はい。お得意のそれね。…もう聞き飽きたよ。私は頷き、そのヒーローの後ろに続き、その場から立ち去ろうとした。が、

「うえええええんんん!!!!」

子供の泣き声が辺りをこだました。
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