第9章 私たちのはちゃめちゃな職場体験
「コスチューム持ったな。本来は公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりすんなよ」
淡々とそう言って、見送る相澤先生に私達は元気よく返事をする。
「楽しみだなぁ!! いっぱい活躍するぞ!!」
隣では女子がキャッキャッと楽しそうな会話を繰り広げている。私はちらりとある人物を見た。その人物は誰とも顔わ合わせず、スタスタと歩いていく。…確か、飯田が行く体験先は……保須子だったか…。嫌な予感がしながら、私は彼から視線を逸らした。……馬鹿なことを考えてなきゃいいけど。
「そう言えばさ、夜蝶ちゃんは体験先どこだっけ?」
話題を振られ、私はニコッと微笑み、もう飯田のことを考えるのを止めた。気にしても仕方がないし、気にする必要もない。
「エンデヴァー事務所だよ」