第3章 学校生活
授業は淡々と続き、やっと昼休みの時間が訪れた。さてさて、どうなる………
「夜蝶いるか!!」
チャイムがなり終わると同時にガラッとドアが開いた。そこに現れたのは1人の男子生徒だった。生徒達はポカンとその人を見るか、私を見た。私は上手くいったと心の中で笑った。
「新戸先輩」
そう呼ぶとその男子生徒は、ぱあっと笑顔になった。私は弁当箱を取り出し、呆然と私と新戸出世(にいどしゅっせ)を見る先生や生徒達を気にせず、教室から出た。
「来てくださって嬉しいです」
私は顔を赤くして微笑んだ。新戸は気取ったように髪を上げながら、私の手をとった。
「いや、君のような美人を振る男はいないさ。いたら僕が殴っているね」
もう片方の手で殴る仕草をするのを、かっこいいと心にもないが褒める。
新戸出世。私の一個上の先輩で、営業科。父親は有名な企業の社長で、その社長に接近することも私の役目。私はその社長の息子であるコレに近づき、私を気に入るようにした。そして、邪魔が入らないように周りにそれを広まるようにしようとしたのだが………。
「………まさかチャイムと同時に来るとは思わなかったな」
思わずボソッと呟く。あまりにも想定外すぎて、クラスメート以外には広まらないだろう。
「………それで、そのとき僕はこう言ったんだ!!」
だから私はわざと人目につくような中庭へと誘導した。案の定、上から覗く人たちやわざわざ立ち止まってこちらを見る人もいる。
「流石新戸先輩ですね。きっと皆さんもその商品が売れたのは、先輩のおかげだと思われていることでしょうね」
「まぁ、否定はしないがね。僕にかかればこんなものだろう」
そうして新戸の自慢話を褒めちぎっていると、ようやく昼休みが終わるチャイムがなったのだった。……とりあえずはこんなものだろう。私は精一杯微笑んで、席を立った。