第8章 職場体験の前に起こったゴタゴタ
私の気苦労はまだまだ続く。まず、私と轟が一緒に登校してきたことに、さっそくクラスメートたちから質問攻めにあった。
「なんでお前ら一緒に来てんの?今までそんなことなかったじゃん!?」
「まさか付き合ってんの? そういう関係!?」
……面倒臭い。私は笑いながら、首を振った。
「まさか!! 轟くんみたいなイケメンが、私と付き合うわけないない!! それより、もうすぐ相澤先生来ちゃうよ!! 早く座ろう!!」
無理やり話題を変え、席に座ろうとする私の顔を、轟がじっと見た。……頼むから余計なこと言うなよ。
「…えっと…轟くん何かな?」
「…俺がイケメンかどうかは分かんねぇが、俺はお前の顔、凄く綺麗だと思うぞ?」
思わず咳き込んでしまった。轟の天然ぷりが見事に炸裂し、周りは騒ぎ出した。
「ちょっ…もー!! 朝っぱらからイチャイチャすんの止めてよね!!」
「二人ともおめでとう!! とうとう、このクラスにも春がきたのかぁ!!」
「お前、マジかよ!! どうやって轟のハートを撃ち抜いたんだ!? エロエロか!エロエロ攻撃か!!」
「次は俺と付き合ってくれるって言ったじゃねぇか!!犬猫山!!」
……うん!色々言いたいことはあるけど、最後のは無視しよう。そう思って、私が弁解しようとした時、またまた天然轟が余計なことを言い出した。
「それは違うぞ峯田」
よりにもよって、この話題で1番面倒な峯田君に話を振り…しかも…
「こいつは明日にでも轟になる」
また勘違いされるようなことを言ったのだ。