第8章 職場体験の前に起こったゴタゴタ
「む…無茶苦茶すぎません? 帰ってきたら
私の部屋が無くなっていたんですよ???」
私は泣きつくように黒霧さんに電話をかけた。電話の先の黒霧さんはヤレヤレといった様子で、私の話に一応耳を傾けてくれた。
「我々もまさか連絡を取ってくるとは思いませんでした。しかし…我々にとっても都合はいいということになりました」
いやいやいや!! そっちはそれでいいかもしれないけど、実際に動きにくいったらありゃしない!! なんで、ヴィラン側のスパイがヒーロー側…しかもNo.2の家に寝泊まりしなきゃいけないの!?おかしくない!?
「しかし、君にとっても都合はいいでしょう? 脳無の件で、君に寄ってくる輩避けになるでしょうし」
…確かに…それは否定できない。余計な手間が省けたといえば省けた。しかし…これはないだろう!!
「……じゃあ…切りますね…」
「ええ。ご武運を祈ります」
そして、電話を切る。それと同時に、私の部屋の襖が開かれた。
「…わりぃ。電話中だったか?」
「……轟くん…キミ……プライバシーってもんないの?」