第7章 指名と名前決め
「…だから俺は反対したんです。犬猫山は、今大切な時期なんですよ。…俺の生徒の邪魔…しないで下さいよ」
相澤先生が男に向けた視線に、私はゾッとしたものが背中に伝わるのが分かった。あれは完全に男を敵と見なした…そんな顔だ。ヒーローがそんな顔をしていいのか…普段の気だるげな相澤先生からは想像出来ないことだ。
「…すまない相澤くん…。勘違いしないで欲しいのだが、脳無に関する情報が少しでも欲しかった…それだけなんだ」
塚内さんが苦虫を噛み潰したような顔で男を見て、そして私に深くお辞儀をした。
「不快な思いをさせて申し訳なかった。だが、最後にこれだけは教えてくれ。…君が脳無に命令した…それはほかの動物を操るときと同じだったかい?」
黒い正義の光が灯った2つの目が私をしっかりと映していた。……これは、答えを言わないとここから出してはくれないな。そう思い、私は息を吸った。
「…いいえ。私が動物たちに何かを頼むときは、彼らはそれに対して反応をしてくれます。しかし、彼に命じた時…彼から感じたのはただ…深い闇でした」
「……そうか…ありがとう」
そして、私はやっと解放され、ホッと息をつきながら、部屋を出たのだった。