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私の敵はヒーロー

第7章 指名と名前決め



「プロからのドラフト指名に繋がってくる。今回来た指名は、将来性に対する興味に近い」

…ふーん。ドラフト制なのか。案外、ヒーロー界も大変だ。今回指名が来ても、卒業までにキャンセルという可能性もあるという。

「で、その指名の集計がこうだ。例年はもっとバラけるんだが、三人に注目が偏った」

開示された集計結果を見て、私は思わずおおっと言う言葉が口から出てしまった。表示された結果はこうだ。

一位、轟、4123票。
二位、犬猫山、4100票。
三位、爆豪、3556票。

「犬猫山!!お前、轟と23票しか変わんねぇぞ!!!」

切島がぐるりと後ろを振り返り、私に笑みを向けた。それを機に、次々と言葉がクラスを飛び交った。

「完璧に順位が逆転してるよな!!」

「轟も凄かったが、爆豪と轟ともほぼ互角の成績だった犬猫山もすげぇよ!! プロからも絶賛だったしな!!」

なーんて、言葉が飛び交ったら…当然反応するのは……

「なんっで優勝した俺がテメェらより下なんだアァ?!」

「ひぃっ!?」

ぐるっと勢いよく首を後ろにひねった爆豪に睨まれ、私は慌てて視線を逸らした。顔が…顔が…怖い。本当に怖い。しかし、轟は心臓に毛が生えているのか、爆豪の睨みにもどこ吹く風。

「………ん?」

吠える爆豪から目を逸らしていると、不意に轟と目が合った。勘違いかと思ったが、彼は私から目をそらすことなく、じっと観察するように見ている。

「………な…なに?」

「………いや。なんでもねぇ」

そんなことをしていたら、先生の話が再開。それは、A組全員がヴィランの襲撃により一足先に体験してしまったヒーロー活動の現場。それを職場体験という形で学ぼうという訓練授業を行うらしい。だからこそのヒーローネーム。体験ながらも実際にヒーローとして活動するために、名前が必要だということ。

「………ヒーロー名…か」

ヴィランの私にとって、ヒーロー名など…なんと滑稽なものなのだろうか。
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