第6章 雄英体育祭
「それではこれより!!表彰式に移ります!」
私は隣からの威圧に、思わず顔を逸らしてしまう。私の反対側にいる轟は平気そうなのが本当に不思議だ。
「本当にしまんねぇ1位だな」
そえ切島がいうのも分かる。隣からは今までで1番の唸り声が聞こえるからだ。
「もはや悪鬼羅刹」
そう表現する常闇くんに私も思わず頷く。ギロりとさらに目つきが悪くなってる爆豪と目が合うと、
「ひいっ!?!?」
と、思わず悲鳴が出てしまうくらい、彼の暴れっぷりが凄い。
「メダル授与よ!!」
今年の授与は、オールマイトのようだ。しかし、オールマイトの登場にも、隣の彼の暴れっぷりの方に気を取られてしまう。オールマイトが私の前に立つ。…ここまで体格がいいのに、威圧感を感じない…。あの時の威圧感はヴィランがいたからか。ヴィランの私に絶対向けるべき表情ではない顔を向ける平和の象徴。
「犬猫山少女、おめでとう!君は自分の個性をとてもよく分かっているし、それに見合う努力も工夫もしてきた。素晴らしい努力家だ!君のそのひたむきさに憧れた者も多いことだろう!女子ながらも対等に男子と渡り合うその力強さ、文句なしの君自身の功績だ」
ニコリと笑い、オールマイトは私にメダルをかける。
「…ありがとうございます」
これで終わりかと思ったが、彼は私を軽く抱擁し、体を離すと再び口を開いた。
「…ただこの体育祭で冷静さを保っていた君が、唯一それを失ってしまった場面があったね」
隣の爆豪が一層暴れ出すのを目の端で捉えた。私は苦笑して首を振った。
「ええ。爆豪くんの煽りに乗っかってしまって…お恥ずかしい限りです」
オールマイトは私の言葉にニカッと歯を見せた。