第6章 雄英体育祭
「き……消えろ。消えろ消えろ消えろ!」
私はこれでもかというくらい歯を食いしばり、そして腕をつねった。しかし、どうやってもこの不快な笑い声は消えてくれない。
「ギャハハハ!!! どうだこの演出? 愛するママと娘。こーんな最高な材料はねぇよなぁ!!」
「黙れ!!!」
「おっ!!」
私は我慢ができず、男に飛びかかっていた。男はひょいっと私を軽々と避ける。
「そうそう。そうでなくちゃな」
そして、倒れた私の頬をそっと撫でた。ゾワっとするものが私の体を貫く。
「綺麗なお前を汚してこそ、俺は自由を不意にした価値があるってもんだ」
体が…重い。体が段々沈んで行くのが分かった。
「また…大切なもんができたみてぇだな。本当に懲りないこった」
…は?何を言って……。ダメだ…意識が……
「そろそろいいよなぁ?」
男の呟きを機に、私の視界は完全に真っ白になった。