第6章 雄英体育祭
「ギャハハハ!!」
耳障りな声が頭に響く。私は思わず耳を塞ぎ、目を開けた。
「ばあ」
私をおちょくるように顔を近づけ、手をひらひらとさせる男。私はその顔を見た瞬間、拳に力がこもるのが分かった。周りの光景は黒から赤へと変わっていく。
「やっと目を覚ましたか? せっかくお前のために色々準備したってのに」
「………」
私は目を再び瞑った。…落ち着け…これは夢だ。夢だ…夢。これはもう過去の話だ。今、この男は刑務所にいるのだから。
「おやおや? 本当にお寝坊さんだなぁ」
気分が悪い。この男が夢に出てくるだなんて…最悪だ。
「夜蝶。本当にお寝坊さんねぇ」
高い柔らかい声が私の耳を擽った。それは…いつも起こしてくれた母の声で…。ハッと顔を上げ、そして私は悲鳴を上げた。
「ママに怒られちゃいますよぉ」
私の目に映った光景……血だらけの母の首を持った男の姿だった。