第6章 雄英体育祭
「お疲れ様」
ゲートで出迎えてくれたのは、八木さんだった。私は苦笑を返す。今はあまり会いたくない相手だ。
「無様な姿を見せてしまい、申し訳ありません」
思わず、爆豪の挑発に乗ってしまった自分を恥じる。今までなかったことだ。
「いやいや。爆豪くんも君も、お互いの力を出し合った結果だろ。見応えがある試合だった」
私に頭にポンっと手を置いて、労う八木さん。……あぁ……やはりこの人は…温かい。
「………犬猫山くん!?」
私はポタポタと自分の鼻から血が出るのを感じ、壁に手をついた。
「……大丈夫…です。ただの……キャパオーバーですから……」
視界がグラグラと揺れる。騎馬戦のときとは桁違いだ。私は口元を抑えた。やばい……これは先生にしごかれた………あの時の再来だ。あの時は、大量の鼻血のあとに吐血もし、死の淵を歩いた。
「キャパオーバーは命に関わる!!簡単に言うんじゃない!!」
八木さんはひょいっと私を抱き上げ、慌てて走り出した。薄れる意識の中で、八木さんの体が大きく見えるという幻覚を見た。