第6章 雄英体育祭
「ゴホッゴホッ…」
私はフラフラと立ち上がった。ギリギリ…だった。ちらりと場外判定となる線を見る。近くで爆発が起こり、目がチカチカする。
「……てめぇ…指音以外でも操れんのかよ」
盛大に舌打ちする爆豪。私はふぅっと息をついた。私の周りには、爆豪の個性と同化したセイムたちがいる。事前に近くで待機させていなかったら、私は今頃大火傷を負っていただろう。フヨフヨと真っ赤なセイムたちが、私の目の端に入る。
「…………おい…てめぇ……」
ふと、爆豪が眉間にシワを寄せ、私にそう切り出す。しかし、その前に横から峰田くんの叫びが聞こえ、私はハッと自分の格好を見た。
「うおおおおお!!!犬猫山の下乳が出て……ぶっ!?」
誰かが牽制してくれたようだ。私は叫んだ。
「で…出てないから!!! 」
そして、慌ててむき出しのお腹を腕で覆う。くっ…テレビ中継なのに!!!
「爆豪くんの馬鹿!!! 爆発させるにしても場所を考えてよ!!!」
「誰が馬鹿だゴラァァァァ!!!てめぇが下手な避け方してんからだろうがぁぁぁぁ!!」
ギャーギャーと言い合っていると、審判のレディが呆れた様子で牽制した。
「はいはい。犬猫山ちゃん、とりあえずこれ着なさいな」
私はジャージの上着を投げ、私はそれを慌てて着た。ふぅ…これで一安心。しかし、周りの興奮は収まっていなかった。
「なに女子に爆発かましてんだ!!!」
「顔に傷が残ったらどうすんだこのヤロウ!!」
「女子に恥をかかせといて、その言い方はなに!!」
爆豪に対してのブーイングが鳴り止まない。