第6章 雄英体育祭
~別side~
「やっぱり…あの子は特に掴めない子だねぇ…」
リカバリーガールの言葉を聞きながら、私ももうすでに冷えているお茶を啜る。あの子が時折見せる悲しげな表情。あれが何を意味しているのか…今の私にはわからなかった。
「でも、あんたを特に慕っていることは伝わってくるよ。あの子の周りに…頼れる大人はいるのかい?」
私は記憶を手繰り寄せた。確か彼女は、里親に引き取られ、この街から遠いところで育ったと記述してあった。今は一人暮らし。大人と接する機会があるのは…学校くらいか。
「……学校の先生なんて、気軽に頼れるもんじゃないよ。…しっかり見ていてやんな。あのこは、他の子より危なっかしい感じがするよ」
ふと、泣きそうな顔で私の手を掴む彼女の姿が思い出された。それから、普段の彼女は……どこか無理をしているようにも感じる。
「…ええ。彼女は1度、ヴィラン側から狙われていましたし…。相澤くんもどこか彼女を気にかけているようですから…」
彼女が安心して、笑って過ごせるようになればいいと…私は心の底からそう思うのだった。