第6章 雄英体育祭
「…緑谷くーん? 大丈夫ですか?」
暇だったので、緑谷の様子を見ることにした。私は医務室をノックして、部屋へとはいる。しかし、そこには緑谷の姿はなく、代わりにいたのは……
「うおっ!? 犬猫山くん!」
「あ、やっぱり見間違えじゃなかった」
八木さんだった。慌てたように両腕を横に振る八木さんに、私は笑いかけた。
「緑谷くんのお見舞いですか? お知り合いだとは知りませんでした」
「えっ! あ…じ、実はそうなんだよ! いやぁ、中々言う機会を逃しててね!!ごめんごめん!」
リカバリーガールは、相変わらずお茶をすすってのんびりとした様子。そういえば……八木さんとは久々に会ったような気がする。
「次は準決勝。相手は爆豪くんか…」
トーナメント表を把握しているのか。そう呟く八木さんに、私は首をかしげた。
「爆豪くんともお知り合いなんですか?」
「えっ!? い、いやぁ……彼はただ観客席から見てただけで……2位の子だよね!?」
なるほどと、私は頷いた。顔が広い人だと思ったが、彼は卒業生として見守っていただけか。
「はい。爆豪くん、本当に強い個性を持ってて…真っ向から挑んでも私じゃ勝てないと思います」
常闇くんとの試合後、目があった爆豪の様子を思い出す。彼は私を容赦なく潰すだろう。
「でも、君も優秀な成績を残して、ここにいるんじゃないか」
励まそうとしてくれる彼に私は微笑んで、懐から種を取り出す。