第6章 雄英体育祭
「おい!犬猫山!? お前、慰めてくれるんじゃなかったのかァァ!?!?」
私が客席で梅雨ちゃんたちと談話してると、ガチ泣きの瀬呂くんがカイロを沢山持って現れた。
「瀬呂くん、おつかれー。やっぱり、負けちゃったかぁ」
「お前が焚き付けたんだろぉ!!」
よろよろと近くの席に座る瀬呂くん。あ、上鳴くんたちが始まったから、私もそろそろ行こうかなぁ。
「俺が…轟に勝とうだなんて…到底無茶な話だったんだ……」
すすり泣く瀬呂くんが、切島に慰めてもらっている。…仕方無いなぁ。私はポンっと号泣する瀬呂くんの頭の上に手を乗っけた。
「轟くん相手によく頑張ったよ。あほ面は無理だったけど、そんなに強い力出したってことは、轟くんも瀬呂くんを警戒してたってことでしょ」
そう声をかけるが、瀬呂くんはポカン…と私を見る。え、なに…なんでそんな顔すんの?ちょっと考えて、私はあ…となった。そして、そのまま瀬呂くんに腕を回す。
「君も大概贅沢だなぁ。よーしよし…っと」
「おまっ………何してんだ!?」
切島が少し顔を赤くして、慌て始める。
「なにって……慰めてって言われたから、慰めてんだけど」
「慰め!?!?!?」
そろそろ、周りの視線が痛くなってきたから止めよっと。段々と身体が硬直していく瀬呂くんの背をポンポンと叩き、身体を離す。
「あ、そろそろ行かなきゃ。じゃあね!!」
そして、私は少し急ぎ足でその場を去った。上鳴の試合が、思ったよりも早く決着がつきそうだったからだ。
「………瀬呂…お前……このことバレたら、爆豪に殺されるぞ…」
先に爆豪に殺されそうなのは、試合に当たりそうな私なんだけどねぇ…