第6章 雄英体育祭
昼休憩終了し、グラウンドに足を運んだ。沈んだ顔で整列するA組女子、私以外の全員がチアリーディングの服を着ている。…なんで?
「犬猫山さんは…医務室で休んでいらっしゃったのでお知らせしませんでしたが……上鳴さんと峰田さんに午後から女子生徒は応援合戦に参加する為にチアリーディング衣装を身につけないといけないと言われ……」
私は落ち込んでいる百ちゃんの肩にぽんっと手を置き、慰めた。だが、目はかなり眼福もの。……皆には悪いが、最高に可愛い。私は隠れて、峰田くんたちに親指を立て、よくやったと目で合図を送る。
「おい! なんでお前着替えてないんだよ!」
と、上鳴くんに叱られてしまったが、私はフッと彼に笑った。
「私みたいな女子が着ても…庇護心をくすぐられないから…」
私が斜め下に視線を向けると、上鳴くんがヤベッという顔をする。私の傷を抉ったと思ったようだ。
「あ……き、気にすんなよ。なんなら!俺が付き合っ……ぶっ!?」
「今!今の顔! めっちゃエロかった!もう1回してく…ぐはっ!?」
耳郎ちゃんが2人を黙らせた頃、本選のアナウンスが入った。一対一のタイマン…。ミッドナイト先生がくじ引きの箱を手に案内する。一位から順に、そう生徒に指示をするミッドナイト先生を遮り、隣に居た尾白くんの辞退が決定する。
「……大丈夫。これは俺のケジメだから…だから、そんな顔をしないでくれ犬猫山」
「……私は生まれた時からこんな顔だよ?」
そう言うと、私の頭にポンっと手を置く尾白くん。
「…勝てよ」
「うん。…勝つよ」
私はその場を離れようとする彼と、軽くハイタッチをした。心操くんと目が合い、先に彼が逸らした。…私の本選の相手が分かった。