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松の間

第7章 僕の気持ち*チョロ松


デート当日
水族館までの道のり、館内の順路やショーの時間、近辺の飲食店なんかも調べておいた

完っ璧だ
せっかくのデートだから、スムーズ・スマートにいかないとね
そして最後にこれを渡せば…

「すみません、お待たせしました!」

小走りに寄ってくる一之瀬さん

チ「大丈夫だよ、行こうか」

スッと手を繋ぎ歩きだす
あっ、と声を上げたけど離そうとはしない
チラッと顔を見れば、微笑んで赤らめている

水族館に着くと明らかに一之瀬さんの目が輝く

チ「水族館好きなんだね」

「そうですね。水中にいるみたいで落ち着くんです」

チ「へー。ショーなんかはどうする?」

僕はどちらでもいい。彼女と出掛けること自体が目的だったし

「んー、良いです。チョロ松さんとノンビリ回ってみるだけで」

なんて言いながら微笑む
僕といたい、と言われたみたいでなんだかくすぐったい気持ちになる
いつの間にかこんなに彼女を想っていたなんて

チ「じゃ、じゃあ、とりあえず順路通りに行こうか」

「はい!」

どちらからともなく手を繋ぎ、笑い合う
幸せな時間。想いを伝えてくれた一之瀬さんには感謝しなきゃな
でなきゃ僕も彼女を好きになることはなかったかも知れないから

熱帯魚、深海魚、甲殻類、ペンギン、イルカ…
普通の水族館
でも一之瀬さんは「あの魚綺麗」とか「鰯美味しそう」とか「ペンギンの手触りってどんなですかね」とか

ペンギンの手触りって気になるもん?
僕が考えもしないことが気になるなんて、面白い女性だな

「はぁ、楽しかったぁ」

一通り見終えた所で彼女が言う

チ「そうだね、僕からみても楽しそうだったよ。」

「子どもっぽかったですかね」

チ「いいんじゃない、たまには。見てて面白かったし…一之瀬さんが」

私ですか?!って驚いてる
そういう所が面白いのに


「あの、すみません。少しお手洗いに…」

チ「あぁ、うん。待ってるから行っておいでよ」

彼女が見えなくなり、周りをみるとお土産コーナーが目に入った

イルカやペンギンのキーホルダー、シャチや鮫のぬいぐるみ
何か買って渡したいなって、柄にもなく思う

よし、これ、お揃いにしよう
渡すだけでなくお揃いに、なんてホント僕どうしたんだろうってくらい
それだけ特別なんだ

会計を済ませ、元いた場所に戻った
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