第7章 僕の気持ち*チョロ松
side.チョロ松
お昼にするにはまだ早い時間
でもモーニング時は過ぎただろうし、昼だとまた混むだろうし、今位が良い時分だろう
一之瀬さんに告白されてからなるべくお店に行くようにしている
彼女のことあまり知らないしね
カランカラン
「いらっしゃいませ」
扉を開けると綺麗に通る声が出迎えてくれる
チ「こんにちは。お昼には早いけど何か食べようかなって」
「ふふ、ありがとうございます」
嬉しそうに笑う
この笑顔、結構好きだな
「何食べますか?」
チ「んー、オムライスにしようかな」
「分かりました、ちょっと待っててくださいね」
そう言って調理場へ向かう
料理をしている横顔は楽しそうだ
料理が出来るのはポイント高いよね
「お待たせしました」
トン、と目の前に置かれるオムライス
湯気が出ていて美味しそう
なのはいいんだけど
チ「この大きなハートマークは?」
そう、ケチャップでハート…メイド喫茶か!
いや、メイド喫茶でもそんなベタなのあるか?!
「私の愛情表現です」
チ「え、あ、ありがとう」
顔が火照る、意外とストレートだな
でも言いたいことを素直に伝えてくれるのは、やっぱり嬉しいな
チ「いただきます」
少し半熟の玉子と綺麗に炒められたケチャップライスをスプーンで割り、口へ運ぶ
バターの風味、ケチャップ、仄かに香るコンソメ
シンプルながらにコク深くて、ペロッと食べられそうだ
チ「うん、美味しい」
「良かった。食後はアイスですか?」
チ「うん。僕、一之瀬さんが淹れるコーヒー好きだよ」
コーヒーも香り高くて飲みやすい
「…コーヒーだけですか?」
彼女は唇を尖らせて言う
子どものように拗ねる姿に苦笑いしながらも、本当に素直だなと感心すらする
チ「拗ねないでよ」
「拗ねませんよ。チョロ松さんの真ん中はまだ遠そうですから」
でも頑張りますよ~、なんて意気込んでる
そんなに頑張らなくても、もうそんなに遠くないのに
チ「一之瀬さん、今度の定休日にデ、デートしない?」
「いいんですか?」
僕の誘いが意外だったのか、大きな目が更に開かれる。目玉落ちるよ
チ「うん、どこが良いかな」
「水族館がいいです」
チ「了解」
「ふふ、楽しみです」
言い終わると鼻歌を歌いだす一之瀬さん
誘って良かったな