第19章 囲う*カラ松
部屋に戻り、ソファに隣り合って座る
カ「さっきのおそ松の話、なんだが」
正直、勢いよく話すおそ松さんに圧倒されてほとんど聞いてなかった
「ビックリした、くらいまでは聞こえてた・・・気がします」
カ「そうか。その・・・」
「すみません、一つだけいいですか」
言葉を選んで話そうとしているところ悪いとは思うが、どうしても確認したいことがあった
カ「あぁ、なんだ」
「一松さんが言ってたんです。もう抱かれただろとか、あいつはいつも手が早いからって・・・女性が来る度にこうして部屋につれ」
カ「信じるのか」
「へ?」
聞いたことないような低い声に驚く
カ「俺と過ごした時間より一松の言葉を信じるのか」
「違うんです。その・・・私以外にもこんな風にカラ松さんの側にいたなら嫌なので・・・カラ松さんの口からちゃんと聞きたいんです」
カ「俺は!こんなことしたことない」
突然大きな声を出したと思ったら、抱き締められた
カ「確かに兄弟達みたいに気分で女性を抱くことはあったが、部屋に・・・隣にいたいと思ったのはお前が初めてだ」
ゆっくり、言い聞かせるように話すカラ松さん
カ「本当なら住む世界が違うから、一之瀬を自由にするべきなんだが、それが出来ないんだ・・・」
「あの、私変なんです。本当は怖くて仕方ないし、帰りたいはずなのに・・・」
抱き締められていた体勢から、おずおずと背中に腕を回す
「今の生活が心地いい・・・側にいたいんです。迷惑ですか?」
カ「迷惑なものか。そうなら初めから部屋に入れない」
カラ松さんが僅かに身体を離す
温もりが無くなったのが少し寂しくて顔を上げると、優しく唇が重ねられた
触れるだけの短いキス
カ「一之瀬が好きだ。このまま囲う、というか一緒にいてもらっていいか?」
「・・・はい、ここにいさせてください」
突然崩れた日常
そこから始まるはずのない生活と、恋が始まった
一「・・・やっと、かな」
お「いや~、意外と奥手だねぇ、カラ松ってば」
一「ヒヒッ、たまにからかってやろ」
お「お、いいねぇ。そん時は俺も混ぜてよ」
ビクッ
カ「なんだ?なんか悪寒が・・・」
「?」
奇妙な共同生活は、幸せで愉快な同棲生活に変わったのだった
-fin-