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松の間

第4章 羨ましい*チョロ松


数日後

カランカラン

「いらっしゃいませ」

扉の方をみやると松野さん
フラフラと覚束ない足取りで席に着き、そのまま突っ伏した

「あの、大丈夫ですか?」

チ「……」

「まつn」

チ「あのクソ長男め。あいつのせいで、にゃーちゃんに嫌われた」

突っ伏したまま憎々しげに呟いている
お兄さんがいるんだ、と1つ知れたことが嬉しくなる

「あの、松野さん」

チ「何」

相変わらず顔は上げない

「…私じゃダメですか?」

言ってしまった

今は少しでも松野さんに顔をあげてほしい、元気をだしてほしい
それだけだったのに、「にゃーちゃん」に向けられる想いが羨ましくて思わず口にしてしまった

チ「…は?」

あまりにも冷たい声
ゆっくり上げられた顔には表情はない

松野さんの顔が見れて嬉しいはずなのに、感じてるのは恐怖に近いもの

「あ…すみません、忘れてください」

踵を返して調理場へ逃げ込む
敵うわけないのは分かってたハズなのに
バカなことをした

店員と客という関係さえ壊してしまった

カランカラン

扉についた鐘がなる
来客かと慌ててフロアに出るが、誰もいない

あ、松野さんが帰ったんだ
そう気付いた瞬間、涙が溢れた
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