第3章 混沌の街、ザミナへ
西に向かって歩く。
そう決めたのは他でもなくこの俺だ。
今、この国では東の先進工業地域よりも
西の無法地帯が世界的に有害である。
そこから、罪を消し去れば理想の世界になる時間も早くなるだろう。
その途中に通らなければならない街がある。
「ここがザミナか。」
“混沌“の異名を持つ街、ザミナ。
かつて無差別で人を殺す殺人鬼がいた街。
その一件以来、街に来るものの数は激減。
代わりに増えたのは犯罪の数。
「ここも罪が多い街だ。」
「あんた、この街で人を切るのか?さすがにここはまずいだろ…。」
女盗賊ですら不用意に入り込めない所である。
「ここを通らなければ西には向かえない。行くぞ。」
歩くペースも表情も変える必要はない。
ただ、罪を切ればそれでいい。
不調和の中に漆黒の番人が今、入り込む。