第2章 闇に響くレクイエム
「確かにあんたは憎い。が、人から物を奪う盗賊に嫌気がさしてきたんだ…。それでも、盗賊を止めなかったのは親父に恩返ししたかった。たった1人の肉親だから。」
「お前の話など、興味ない。ただ、俺の世界に賛同し、このやり方を信じるならついてこい。肉親は今日から俺だ。」
背中で女に語る。
これといった拒む理由もない。
それなら、仲間を増やし時間を短くする方が効率的だ。
「特技は盗賊だから盗みだが、もう一つ得意なのがある。それはこれだ。」
カチャ…
銀色に光る口径24mmのアイスホーク。
「昔、これで命を守っていた。これさえ見せれば大抵の敵はひるむ。しかしハッタリだと思われれば危ないからな。かなりの腕前だと自負している。」
確かに違和感はない。
むしろ、よく手入れされているが、どことなく古いキズがある。
「それはあくまで自分の為の道具だ。これからはそれで人を殺める事が当たり前になる。撃てるか?」
「やってやるよ!なめんな!」
俺のような近距離攻撃を主とする者としては心強い。
「これから、向かうのは西だ。そこで罪を見つける。行くぞ。」
大鎌を背負い歩き始める。
後ろから追うものはもう敵ではなかった。