第2章 闇に響くレクイエム
地上に降り立つ赤き龍は鎌の100倍の大きさ。
何より存在感と威圧感は絶大であった。
「こんなの勝てねぇ…。」
賢明な判断で逃げ出す虫を龍は見逃さない。
ギャウウウウウウウ!!
燃えたぎる爪で切り裂き、熱した尾で叩き潰す。
「女、逃げないのか?」
未だに闘う意志を持つものには本気で挑む他ない。
「逃げないが闘う気もない。できれば、生きて帰りたいものだ。
しかし、殺されることも覚悟のうえ。殺るなら殺れ。」
「気に入った。逃げるなら逃げるがいい。お前には悪が染み着いてるとはあまり思えない。」
バハムートが天空に帰っていく。時間切れか…。
「一つ聞きたいことがある。罪人を斬り続ける理由は何だ?」
「この世から悪を無くすため、それだけだ。」
女は黙り込んだ。そして答えた。
「その重荷、少し私が背負えないのか?無理にとは言わない。」
罪人を斬る死神に付いてくるとは面白い女だ。