第4章 混沌街の傷痕
「と、飛んだ!?」
女の動揺は、周りと同じ反応である。
「堕天使の力をここに示さん!」
上空に投げた二つの相棒が、光を纏いながら結合する。
さらに大きな光となり、死神の前にとどまった。
光に左手を伸ばし、力強く掴んだ。
光が四方に散らばり、姿を見せたのは…
「すげー…綺麗だー……。」
雑魚の一人が、思わず口をこぼすほどの美しき剣。
「大剣ですか。」
しかし、地上のものが驚いたのはこの後だった。
死神の背中から白翼と黒翼が広がった。
4つの羽は、優雅に羽を散らす。
「聖魔の力ですか。面白い!」
ハクスの目力は一層強くなる。
クリムゾンも同調するかのように、死神を睨み付ける。
「行くぞ。」
滑空しながら、怪物と対峙する堕天使。
ウオオオオオオ!!!!
怪物も答えるがのごとく、唸りをあげる。
全身の赤い毛並みが勢いよく、風を作り出す。
前右足で掴もうとするが、翼の速さに敵わず空を切る。
身のほどある大剣にも関わらず、先ほどの鎌よりも素早い切っ先がクリムゾンの左肩を襲った。
ウオオオオオオ!!!!
雄叫びがまた、反響する。
この戦いはまだまだ始まったばかりである。